第0章 · 味見
生成AIが壊した5つの前提

Slide 1

生成AIが壊した5つの前提

1/1
日本人成人学習者が異なる形のカードを並べ、同じ依頼でも結果が揺れることに気づく場面

1. が壊した5つの前提

架空の営業チームで、問い合わせへの返信をAIに下書きさせました。同じ依頼でも、ある日は丁寧な説明、別の日は簡潔な回答になります。文章の違いは役立つ一方、返品条件まで変わるなら困ります。速く書けることと、仕事として任せられることの間には、まだ判断が必要です。

このコースでは、従来の仕事の設計を見直す観点を「生成AIが壊した5つの前提」と呼びます。すべてのシステムが必ず同じ挙動になるという法則ではなく、見落としを防ぐためのコース独自の整理です。

前提仕事で見直すこと最初に置く問い
出力が毎回違う一度の成功を、その後の品質保証にしない違ってよい表現と、変えてはいけない事実は何か
能力が外から降ってくる提供者の更新を前提に、選択を見直す今できることが変わったとき、再評価できるか
自然言語がインターフェース利用者が自ら作る場面も含め、使い方のルールを決める誰が何を作り、どの情報・権限を使ってよいか
エージェントが行動する回答だけでなく、送信や更新の権限を設計する取り消せない行動の手前で止められるか
学習が組織に閉じる自社の判断基準を、AIへ渡せる形に整理する判断理由や例外を、人とAIが参照して使えるか

「学習が組織に閉じる」の「学習」は、業務で得た知見の蓄積を指します。会話するだけでモデルが自社専用に再学習される、という意味ではありません。「能力が外から降ってくる」という前提も、すべての更新が改善になるという約束ではありません。変化を確かめ、使い方を更新する仕事が残ります。

自然言語で依頼できると、利用者自身が文章や小さな仕組みを作る場面が増えます。「自然言語がインターフェース」という前提では曖昧な依頼を具体化するだけでなく、使ってよい情報や実行してよい操作を、利用者と一緒に決めます。「学習が組織に閉じる」という前提では、記録を人へ引き継ぐところからさらに進み、承認済みの判断基準を指示や参照資料としてAIへ渡し、結果を確かめます。秘密の情報を無条件で共有する意味ではありません。

5つの前提は「なぜ学ぶか」、次の7つの領域は「何を学ぶか」を整理する目印です。

前提対応する学習領域このコースで考えること
出力が毎回違う評価設計出力の違いを踏まえて、許容水準を決める
能力が外から降ってくる戦略今取り組む選択と、準備して待つ選択を比べる
自然言語がインターフェースリスクシステムだけでなく、人の使い方にもルールを置く
エージェントが行動する業務分解・運用設計作業を分け、行動する前の承認と停止を決める
学習が組織に閉じる組織導入自社の判断基準をAIへ渡し、組織で再利用する

残る「仕様化」は、「出力が毎回違う」と「エージェントが行動する」の両方に関係します。何を任せるかを言葉にするときに、許容水準と責任の境界も具体化するためです。

まずは、自分の仕事に関係しそうな前提を一つ選んでみましょう。「返信文が毎回違う」なら「出力が毎回違う」、「返信まで自動で送る」なら「エージェントが行動する」が入口になります。